この度、JLCPCB様から自動運転ロボット「動く板」への協賛を頂き、140$相当のプリント基板製造およびPCBAサービスの無償提供を頂きました。この基板はロボットに組付け後、自動運転に必要不可欠なブラシレスモーターのベクトル制御と電源管理を担います。本記事では基板設計から発注、動作確認までの概要を紹介させて頂きます。
英語発注システム
https://jlcpcb.com/JPV/
日本語発注システム
https://jlcpcb.com/jp/
目次
設計
今後、他の機体で基板を使いまわす可能性が高いため形状はシンプルな100×100としました。Fusionでネジ穴位置を決めてDXFとして出力後、アートワーク設計時にKiCadに読み込ませます。

これが設計した基板のブロック図です。前機体では24Vシステムだったのが、今回からLiFePO4バッテリーx3の36Vシステムとなったため、36V to 12V,5V,3.3V DCDCコンバータの設計では骨が折れました。生成した12VでJetson Orin NanoとLiDARを駆動します。

回路設計の次は過酷なアートワーク設計。。引き出すIOや使用する部品形状を適宜変更しながら100×100に収めていきます。
2層に収めるのはやや無理がありましたが、載せきりました。


なおこのESP32の実装位置はWiFi/Bluetooth利用時に非推奨とされているので基板に余裕がある場合にはEspressif公式の「Positioning a Module on a Base Board」に従いましょう。

発注

任意の回路CADで出力したガーバーとドリルファイルをZIP化したものをJLCPCBの見積もりサイトにアップロードします。上の画像から見積もり画面に飛べます(アフィリエイトじゃないよ)
レイヤー数や外形の大きさは自動で検出されますが、基板の色や鉛フリーにするか等は自分で選ぶ必要があります。通常であればカートに追加、支払いをして注文完了ですが、今回はスポンサー提供での製造なので注文番号をJLCPCBのスポンサー担当者に連絡します。数日後、$140のクーポンがアカウントに付与されていました。

スポンサー提供での製造は言い換えれば$140割引きなので、差額さえ支払えばより高額な基板/PCBAを発注する事もできます。当初はそれを知らずにPCBAの実装部品を頑張って減らして$140に収める無駄な努力をしてしまいました(汗)

動作確認
PCBAを利用すると無料で24hでのお急ぎ製造が選択可能になります。ただ、配送方法にOCSを選択したため到着まで2週間程度を要しました。それぞれの基板の間に赤い緩衝材が挟まれており、傷が付かないように厳重に梱包されていました。
追跡情報
2025-03-07 00:38:00 Delivered,Delivery CompletedDelivered
2025-03-06 23:00:00 Status Updated by Delivery Contracted Company,Out for Delivery
2025-03-06 08:36:00 Status Updated by Delivery Contracted Company,In Transit
2025-03-06 06:09:00 Status Updated by Delivery Contracted Company,Shipped Out
2025-03-05 20:08:00 Ready to Hand Over to Contracted Company,,TOKYO SKYGATE / JAPAN
2025-03-05 20:08:00 Delivery Route Fix,,TOKYO SKYGATE / JAPAN
2025-03-05 20:07:00 Arrived at Facility,Arrived at Service Center,TOKYO SKYGATE / JAPAN
2025-03-05 19:49:00 Released from Customs,Manifest Permission
2025-03-05 19:48:00 Importation Entry,Manifest Declaration
2025-03-05 19:48:00 Arrived at Facility,Arrived at Warehouse,TOKYO SKYGATE / JAPAN
2025-03-05 04:18:00 Importation Entry,Manifest Declaration (Z)
2025-03-04 14:29:00 In Transit,,BAOAN SVC SHENZHEN / CHINA
2025-03-04 04:42:00 Shipment Data Entry,
2025-03-04 04:36:00 Arrived at Facility,Arrived at Service Center,BAOAN SVC SHENZHEN / CHINA
2025-03-03 16:35:58 Packaged,waiting for pick up by the carrier,Tracking #: 507167818485
2025-03-03 13:27:11 Final inspection
2025-02-28 Production Start
2025-02-26 Data Uploaded


PCBA Typeがスタンダード(実装費用が高額)となったため、$140で実装してもらえた部品は写真の通り多くありません。残りの主要な部品(PMICやESP32)は自力で実装する必要がありました。動作確認に必要な全ての部品をのせ終えた様子が次の画像です。

さっそくESP32にファームウェアを書き込み、350Wブラシレスモーターを回転させる事ができました。動作している様子は下の動画から確認できます。
動く板に搭載されたJetson Orin Nanoに基板を接続し、遠隔操作で問題なく動かせる事も確認しました。
最後に
今回スポンサー提供による初めての注文でしたが、通常の注文手順と同様な点が有難かったです。動く板の製作にはモータードライバや専用基板が必要不可欠であり、今回JLCPCB様に基板を提供頂いた事で新機体の製作が大きく進展しました。今年度の冬に予定されているつくばチャレンジでの完走を目指して精進致します。

素晴らしい記事です!
とても参考になりました